kayakaya日記
Mar 04, 2010 (Thu)
# 『あなたはなぜ値札にダマされるのか?—不合理な意思決定にひそむスウェイの法則 』
日本放送出版協会
¥ 1,575
行動経済学を分かりやすく説明した翻訳本という認識で良いのかな? 購買や面接、テストなど合理的に思考すると思われるシーンにおいても、合理的ではない行動を取るという話ですね。エピソード満載でさくさくっと読めました。速読な人なら通勤電車の往復で読めるくらいな手軽さなので、話の種にへーっと読んでみると良いと思います。タイトルは「あなたはなぜ値札にダマされるのか」となっていますが副題の「不合理な意思決定にひそむスウェイの法則」の方がふさわしいでしょうね。「値札にダマされるのか」は釣りでしょう。そういう意味では、タイトルだけで本書を手に取った僕はダマされているのかしれません……。ダマされる?ところでは男性は美人の女性に弱いのね……というエピソードが多いです。はい。美人には不合理な判断をしてしまうので世の男性は気をつけましょう*1
以下スウェイの法則を自分なりに掻い摘んで紹介。
損失回避の法則
損失の可能性をなんとしても避けようとする
旅の途中にタイヤがパンクして、予定を間に合わせようと知らない下道に入り込むこむシーンです。長期的な視点に立てば、遅れを受け入れてタイヤ交換後も同じ道を走れば良かったわけです。下道に入り込むケースではさらに状況を悪化させる可能性がありますね。車を運転しているので良く分かります。時間に遅れそうな時に……。
電話の契約では固定料金よりも従量料金の方がお得な人でも、つい電話してしまうのではないかという心配からより割高な固定料金で契約してしまう例を上げています。
コミットメントの法則
ある物事に労力をかけたあとでは、それがうまくいかないとわかっていても止めることができない
ベトナム戦争の泥沼を例に上げていましたが、日本にたとえるならば、ダムを初めとして公共事業でしょうか。公共事業の中止が相次いでいますが、事業には多額の税金をつぎ込んでおり、またお役所の面子もあるため、事業がうまくいかないことが分かっていても、今まで撤退しにくい状況に陥いっていました。
もし迷ったら「今からプロジェクトに参加することを選べと言われたらどうするか」と自問するのが良いとのこと。確かにそうですね。まぁ、それができないからコミットメントの法則に陥いるのですが……。
価値基準の法則
客観的なデータではなく、最初の印象にもとづいて人やものの価値を判断する
名もないオランダ人考古学者がジャワ島で発見した類人猿の化石は学界で見向きもされませんでしたが、イギリスの学会に属するアマチュアが捏造した人の化石は長い間学会から公式に認められていました。イギリスの権威ある学会員によるもので、しかも文明地のイングランドでの発見だったからです。ラベルによって客観性の判断が惑わされる例。
他には地下鉄駅構内でジョシア・ベルがジーンズで演奏した時には見向きもされなかったエピソード。この話は地下鉄構内にストラディヴァリウスの音色にも詳しく載っています。ジーンズに野球帽、地下鉄構内というラベルが演奏を聴く耳を曇らせてしまったという……。
世間の価値観を疑うことでもあり、この法則に立ち向かうのは困難だと思います。グループ力学の法則のように一人でも異なる意見があれば話が違ってくるはず。組み合わせて考えてみるのも良いのかもしれません。
評価バイアスの法則
ひとたびある物事に評価をくだすと、それに半する証拠が見えなくなる 評価ラベルをつけられた人は、実際にラベルどおりの特徴を身につける
NBA(アメリカ・バスケットボール・リーグ)の選手を分析したデータによれば、選手の出場時間は得点力など客観的指数に比例せずに、ドラフトでの指名順位に比例するそうな。コーチはドラフトで高い順位で指名した選手だからやってくれるだろうという期待から、その選手を試合に出す傾向があるらしい。ドラフトでコーチの目が曇ってしまうわけですね。
つまり、本書にもありましたが、初デートの印象は大切と……。
プロセスの公平性の法則
結果の損得よりも手続き上の公平性を重視する
重い量刑を受けた受刑者でも、弁護士と話す時間が長かったりして自分の言い分を聞いてくれたと感じているならば、重い量刑を納得する傾向にあるそうな。逆に話す時間が短かければ軽い量刑でも不満に思うとのこと。つまり、量刑の重さに関わらず、自分が公平に扱われたかが満足の指標になっているわけです。この公平性の法則は犯罪者でもないVC(ベンチャー・キャピタリスト)と起業家の関係でも同様で、VCは頻繁に報告している起業家を信頼しやすくなるとか。ビジネスの成功という結果ではなく、そのプロセスであるコミュニケーションに重きを置いてしまうわけです。非常に理解できる話ですが、結果が求められるVCにとっては時に致命的な結果になるかもしれませんね。
金銭的インセンティブの法則
報酬の可能性をちらつかされるとかえってもモチベーションが下がる
スイスのとある自治体に放射性廃棄物貯蔵施設を建設する際に、地元住民の反対に対して補償金を提示したところ、逆に反対の意見が強くなってしまった例。補償金を提示する前の方が賛成意見があったにもかかわらずです。経済的観点からすれば金銭的インセンティブは合理的に思えます。金銭的インセンティブは脳の快楽中枢を刺激する特徴があり、快楽中枢と博愛中枢は同時に働かないそうな。金銭的インセンティブを与えると博愛中枢が働かないために、かえって国を助けようかという気運が下るらしい。金銭が絡むと利他的になりにくくなりますから、色々な局面で通用する法則のように思えました。
テストで100点を取ったらお小遣いを上げるという金銭的インセンティブは有効ではないわけですね。なるほど。
グループ力学の法則
四人に三人は、まちがいだとわかっていながらも大多数に意見を従う。
大勢の同調意見があれば、それに従ってしまう傾向があります。そのためにも反対意見の重要性を問いています。アメリカのイラク戦争の主張などはその典型でしょう。熱心に主張したアメリカ、それに反対し続けたフランス。さらにはローマ教皇選定にあたり必ず反対意見を述べる悪魔の枢機卿の役割を例に説きます。反対意見が重要であることは云うまでもありませんから、問題はどのようにその仕組みを作るかでしょう。制度的に保証されていなければ無意味です。この実装が難しいわけですが、グループワークなどで意図的に反対意見を云うような工夫をしたいなと思いました。
*1 本書の男女のサンプルで、女性が男性を判定するケースが少なかったようにも思えるので、本当の性差の話ではなくネタ程度で考えておくのが良いのでは。あるいは自戒を込めて。
年間聖句(2010年)
あながたは皆、信仰により、キリスト・イエスに結ばれて神の子なのです。洗礼を受けてキリストに結ばれたあなたがたは皆、キリストを着ているからです。
新共同訳聖書ガラテヤの信徒への手紙3章26節You are all sons of God through faith in Christ Jesus. for all or you who were baptized into Christ have clothed youselves with Christ.
Galatians 3:26-27 (New International Version)
